柔軟性

先日、なんとなく開店時間に「お店」に行ってみたくなりまして。会社終わり、駅前の商業施設のレストラン街で夕飯を食べて、時間つぶしのため本屋に寄って松井玲奈さんの短編集以来の小説を買ってそこらへんのフリースペースで読んでたけどやっぱりヒトが通るので集中できないなー… せや! 図書館があったやんけ! ちょうどお店に行く道の途中にあるし! ってことで14年間暮らしていながら一度も行ったことのなかった市の図書館に初めて行ってみまして。持ち込みの本を読むのはマナー的にアレですが閉館間近の時間帯だし大丈夫だろうと。

で、入ってみると「ちょっと昔の近未来」というか? ガラス張りのエレベーターとか吹き抜け構造とか機能より見た目を重視したオシャレ空間で、僕の知っている図書館とはずいぶん違う印象でした。適当な場所を探すため、その無駄なオシャレさのせいで非常にわかりにくい構造の館内を彷徨った挙句見つけたのが学習室! 懐かしい。高校の頃、地元の図書館の学習室でよく勉強したなー。カップルで来てイチャついているヤツらを目にしては「お前らには絶対負けねえ!」と闘志を燃やしたものです。もう20年前のハナシですね…

学習室の中を見渡せば、さすがに時間も時間なのでヒトもまばら。学校の教室サイズの部屋が2つあって、その中に4~5人という感じでした。そしてさすがの無音。これほどの無音空間がまだこの世の中に存在していたのかと感動するほどの無音。ありがたや―――

―――30分弱、読書していたでしょうか? 館内放送でもうすぐ閉館だというアナウンスが流れました。お店の開店時間からするとナイスタイミングですがあと5分くらい、キリの良いところまで… と再び本に視線を落とそうとしたそのとき、職員らしき女性がこちらに向かって歩いて来るのが見えました。もうすぐ閉館って直接言いに来たのかな? と、大して気にも留めず読み進めていると

「ここは本を読む場所じゃありません!!」

無音の学習室どころか館内全体に響き渡るかのような大音量で怒鳴られました。まさか図書館でこんなセリフを吐かれるとは思いもしなかったので若干脳がバグり気味の僕でしたが、相手を見て一瞬で「コイツは関わったらダメなヤツだ」と悟りました。あの、何とも言えない「会話ができない感」。こちらの言い分は天地がひっくり返っても絶対に聞き入れないという、意思を超えて逆に全く意思を持たないロボットのような冷たい目。

ババアは続けざまに「マスクはちゃんと着けてください!!」とまたしてもの大音量で叫んでいましたが、いやお前から近付いて来たんだろうがと。息苦しいし、隣のヒトからソーシャルディスタンスの10倍くらい離れてたから外してたんじゃろがボケが。っていうかその大音量じゃマスクを貫通してお前の飛沫が飛ぶわイカレポンタンが。汚いんじゃ黙れクソババア(ピー)ね。と普通に思ったものの日本語が通じる相手ではないので平謝りで逃げました。

後で調べると、あの図書館の学習室は「指定席」だったようで、初めて来館した僕にわかるはずもないカードらしきものを入手して決められた席に座るものだと。そしてやはり、初めて来館した僕にわかるはずもありませんが、学習室では本を読んではいけないという謎ルールがあった模様。たとえ数十人が入れる部屋に4~5人しかいなかったとしても! 教科書や参考書も「読む」ための「本」であることに違いはないという圧倒的真実があったとしても!!

残念なことに、こういうエピソードを話すと「ルールを守らないお前が悪い」とド正論のミサイルを打ってくる(ピー)が今の世の中には充満しております。なんならそっちの方が多いんじゃないでしょうか。でも待ってくれ。僕、誰かに迷惑掛けました?

年々、日に日に、世の中から「寛容さ」が失われていっているように思えてなりません。そしてそれはこのコロナ禍で加速していっているように感じられます。マスクだって本当に感染防止のために着けているヒトは何割いるでしょう? かなり少ないはずです。周りがみんな着けているから、怒られたら嫌だから着けているだけのヒトがほとんどではないでしょうか? 実際に今、マスクなしでスーパー等の小売店に入ったら100%、誰かにイチャモンを付けられます。図書館ババアはどこにでも一定の割合で存在しているからです。

皮肉にも、ここ日本には空前の健康ブームが到来していて、これほど多くのヒトが毎日のように筋トレやストレッチ、ヨガに勤しむ時代は有史以来初と言っても過言ではないでしょう。それ自体は素晴らしいことかもしれませんが、僕はあえて言いたい。カラダの柔軟性を上げる前にアタマの柔軟性を上げてくれ! その場面場面に合わせた臨機応変な対応こそが人間が人間たる所以。物事の善悪はそのこと自体だけでなく周囲、前後の状況を鑑みてその都度判断されるべきものです。

思考停止した人間は、もはや人間ではない。何でもかんでもマニュアル化、ルーティン化、それってもう……

前置きのつもりで書いたら長くなっちゃったので、本編(?)は次回にします。

ちなみに買った本はこちらです↓↓↓

店長がバカすぎて 早見和真

柔軟性」への9件のフィードバック

  1. そう、本編。
    もちろん「お店」のお話になるのかと思いきや、そのような事が!
    ルールを推奨する者が大声を出すと言う図書館でのマナーは無視なんですね

  2. >AoIさん
    本編(?)より言いたかったことだったので長くなりました(笑)

    んー、まぁ わかんないですよねぇ
    僕みたいなヒトとは思考回路が全く違いますので……

    コロナのせいで? もともとの? 攻撃性を前面に出しているヒトが多いみたいですので、AoIさんもお気を付け下さいませー。

  3. これは
    図書館の方が配慮が足りない!
    そばに来て
    小声で
    ここは指定席制をとってますし、自習専用となっておりますので本を読まれるのでしたら別の場所で

    と注意するべき事案

  4. >kobacrowさん
    もっと気の利く職員なら「初めてのご利用ですか?」から入るでしょう!

    まぁ 普段どういう状態かわからないのでアレですけどね。
    マナー違反、ルール違反が横行して、辟易としていた可能性もゼロではない…

    …ゼロではないがアイツはオカシイ。

  5. これは衝撃のエピソードだわ。
    素敵なひと時が想像しない展開で破壊され災難でおましたなぁ。
    時にこういう理不尽に出会うことがありますが、帰り道にうんこ踏んだようなものと思って諦め、なかったことにしませふ。

  6. >とっちさん
    記事中にある「ちょっと昔の近未来」について「レトロフューチャー」という言い方があることを今日学びました。なるほどですー。

    この図書館、Googleマップのクチコミを見たら「高圧的な職員もいます」との情報が。誰のことだかわかりやすくてよろしい。おそらく同じような目に遭ったヒトがいたんでしょうね。公務員の司書かそうでないバイトさん(?)かわかりませんけど、こんなだから(以下略)

    社会人生活も長くなり、会社内の理不尽を受け流せるようになって久しく、こんなところでこんな攻撃を受けるとはマジで全くの想定外でしたわ。

  7. にしてもホント
    平和なインターネッツすなぁ・・・

    やはりブログは良い。

  8. 衝撃エピソードの記事だけど、
    コメント欄の懐かしい雰囲気にほっこりです。

  9. >AoIさん
    The 常連さんって感じの人々ですね(笑)
    否が応でも変わってしまう世の中にあって、変わらぬことがあることは良きこと。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です