悪の書

さてさて、長期休暇の恒例になりつつある、意識高い本。今回は高松智史・著『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』でございます。

コンサル!!

憎きコンサル。何を隠そう、ワタクシは世の中の99%のビジネスマンと同様にコンサルという人種が大大大嫌いでございます。なんとなくお高くとまっている雰囲気。若くして一般企業の上級役員と同等以上の超高収入。パワハラ上等、超長時間労働上等の超体育会系社風を生き抜く精神力、体力を生まれながらに備えた才能。ぶっちゃけほとんどが妬み嫉みなのは自覚してますが、とにかく感情的に嫌いなのだから仕方がない。

そんなワタクシがこの本を読んだ結果、凄まじくタメになりました。本当に素晴らしい。なんならウチの社員、特に管理職の人間には全員読んでほしい。というか読め。読まないと○す。と思うくらいには素晴らしい内容。既にできていることに関しては自信になりましたし、そうでないものも夏休みが明けたらすぐに実践したいことがほとんど。いやーやっぱスゴイっすねコンサル。太古の昔から答えのないゲームを戦い続けてきただけはありますわ。

一方で、やっぱコンサル嫌いだわっていう感情には変わりなく。いやむしろより嫌いになった。読み進めるうちにどんどんイライラ、モヤモヤ… できることなら顔面にヒザ蹴りを入れたい人種。それがコンサル。

とまぁ そんなモヤモヤは感情面、内容面でそれぞれありまして。

まず感情面に関して。本書は元コンサルの筆者が書いているだけあって、もちろんコンサル目線の内容となっているわけですが、コンサルもビジネスであり、クライアントの要望に応えてクライアントを成長させ、クライアントに利益を与えるモノだと思いたい… けど、個人レベルで考えた場合、どう考えてもコンサル側の方が成長するし、利益を得ているとしか思えない。

なぜならコンサル側は、自分の成長分をMAXに活かせるだけの環境が常にある一方、一般企業であるクライアント側はそうではない。よほどのスタートアップか超有能経営者がトップダウンで運営している会社でもない限り、必ずその会社なりの制限やら障壁やらがあって「コンサル思考」を突き詰めたくてもできない現実があります。

これがなんか、フェアじゃない。

次に内容面に関して。この筆者に限ったことではないものの、ここ1~2年のビジネス界隈の動きとして「長時間労働の価値が見直されている」ということがあります。これは、凡人が他人より優れた成果を出すには「成果=生産性×投下時間」の原則に従うしかなく、このうち生産性を上げるのには限度があるので、あとは投下時間だよね? という極々シンプルなハナシです。

そういう流れがありつつ、本書でも若手時代の週7勤務、徹夜勤務が推奨されているばかりか、コンサル時代の「GWを全潰しして磨き上げたアウトプットを上司に褒められた」エピソードを美談として語っています。

間違いではない。確かに。投下時間が多ければ成果は出る。確かに。しかしこれは一流コンサル企業の激務を超えた激務に耐えられる超人だけに許された働き方であって、凡人には到底真似できるものではありません。そして、筆者本人も心の底ではそれをわかっているはずなのに、この系統のヒトは必ずと言っていいほど「自分は凡人」「自分には才能がない」と言います。いやいや、常人がそれをやったら2~3ヶ月で確実に身体を壊すのですよ… そして、身体を壊してまでやる価値のある仕事ってのは、この世に存在しないのですよ……

これがなんか、ズルい。

というわけで本当に素晴らしい本で、自分のことをビジネスマンだと自覚するヒトは全員が読むべき内容と言えなくもありません。が、たぶん、読んだらイライラします。そんな本です。

やっぱコンサルってクソだわ。

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